ここでは、「リンパ浮腫かも⁉」と思った時の対処方法について書いていきます
まずは受診をしましょう
しかし、診察時間が限られている中でどのようなことを伝えたらいいのかわからない
と思う方もいるかと思います
今回はポイントを絞って話せるように、まとめてみました
個人的な見解なので、ご自身の症状にあわせてカスタムして頂いて結構です
メインと補足情報に分けてみる
伝える情報をメインと補足に分けてみました
メインは
- 治療歴
- いつ浮腫に気づいたか
- イベントはあったか
について書き、補足は
- 蜂窩織炎の既往
- 肥満の程度
- 生活習慣
について書いています
最後にメモ一覧ものせていますので、それを見ながら話してもらえると伝わりやすいかと思います
治療歴
手術された病院で診察を受ける場合には、カルテ内容から把握はできるかと思いますが、手術してから15年後にリンパ浮腫を発症された方もいらっしゃいます
カルテが見つかりにくい場合があるかもしれないので、簡単に説明できるようにまとめておくといいですね
詳しい内容は過去の記事をご参照ください
まずはどこのがんで、どこの手術をいつしたかが重要です
「右乳がんで、3年前の〇月〇日にレベルⅠのリンパ節郭清をした」などです
できればがんの治療を行っている科や手術された科で見てもらう方がいいと思います
また、放射線療法をされた方はどれくらいの回数や量を照射したのかを知っておくといいです
化学療法をされた方は、どの抗がん剤を使ったのかを知っておくといいと思います
いつ浮腫に気づいたか
時期と一緒に場所も言える方がいいですね
昨日家族に「手腫れてるよ」と言われて気づきました
毎日風呂上りにチェックしているんですが、先月から皮膚をつまんだ感じに少し左右差が見られ始めました
今後の自己管理がしやすそうな方はどちらだと思いますか?
Bさんですよね
以前の記事を参考にしながら、自覚症状、視診、触診を組み合わせて判断できればいいと思います
また、その場所はリンパ分水嶺で見た場合、リンパ浮腫が出る場所と一致しているかも確認しておく必要があります
リンパ分水嶺と違った場所に浮腫が出た場合、薬剤性や心不全など、他の原因が可能性として考えられます
イベントはあったか
私が担当している方はほとんど、何かしら思い当たるきっかけがありました
- 治療(放射線療法、化学療法など)が始まった
- 蜂窩織炎になった
- 動きすぎた
などが主なきっかけとなり、リンパ浮腫を発症されています
放射線療法によって、一時的に皮膚に炎症が生じたために浮腫がみられる場合がありますが、その場合は軽快するときもあります
しかし、放射線によって皮膚が硬くなったり(線維化と言います)リンパ管がダメージを受けた場合はリンパ浮腫を発症するリスクが高くなります
化学療法も薬剤性浮腫の原因となることがあります
また、化学療法の副作用(有害事象と言っています)によって体調をくずし、いつも以上にむくみ易くなった方もいらっしゃいました
その方は体調がよくなると浮腫も軽快しました
いろんな浮腫の出かたがあるので一概には言えませんが、経過を注意深くみていくことが大事なんだと思います
蜂窩織炎はリンパ浮腫管理においてとても重要なので、何度も出てきます
蜂窩織炎を発症してすぐの場合は浮腫に対する介入ができない(おそらく痛かったりする)ので、抗生剤などの治療がまずは優先されます
炎症が治まっていて、痛みや発赤などの症状が軽減すれば、主治医と話し合って浮腫に対する介入を始めています
動きすぎは、様々な種類があると思います
親の介護が必要になった、孫が生まれた、仕事を再開したなど、自身以外のことや生活に必要なことは、なかなかその頻度や量を調整することが難しいですよね
医療者側としては、リンパ浮腫だけでなく、そのあたりの負担も減らせるようになれればと思っています
私は理学療法士なので、介護の場合は介助方法や介助用品のアドバイスをすることができますが、メディカルソーシャルワーカー(MSW)に何か支援できることはないか相談したりすることも多いです
ご家族に協力を依頼することもあり、いろいろな方法で「動きすぎ」の状況を変えられないか考えることも、リンパ浮腫の介入としては大切であると思っています
趣味、とくにスポーツを再開した場合なども注意が必要です
しかし、その方にとっての趣味はQOL(Quality Of Life:人生の質)を高めるためには重要な要素であると思うので、「やらない」という選択肢よりは「少し工夫しながらやっていく」という考えで対応しています
蜂窩織炎の既往
ここからは補足情報に入っていきます
蜂窩織炎は一度発症するとリンパ浮腫のリスクが高くなります
過去に何度くらい蜂窩織炎になったことがあるか伝えていただけると、対応しやすくなります
肥満の程度
一般的にはBMI(Body Mass Index)を使用しています
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算できます
BMIが30以上の場合はリンパ浮腫のリスクが高くなります
乳がん術後などで内分泌療法を始められた方などは体重が増えやすいことがあるため、確認が必要です
現在の体重がどれくらいの期間で変化してきたのかを伝えてもらえるといいです
反対に減ってきた場合は「フレイル」や「サルコペニア」といったことで心配になります
詳しい内容は今後書いていきます
生活習慣
浮腫がある場所の使用頻度を知ることができると、対応もしやすくなります
利き手がどちらであったり、仕事内容などです
立ちっぱなしの仕事が多いとか、重たいものを持たなければならない仕事だと、それらがきっかけとなってリンパ浮腫を発症・増悪することがあります
衣服に関しても、締め付けすぎる服を着ていないかなどが確認できるといいと思います
スキンケアに関する状況も重要になります
身体の洗い方や、保湿を行っているかなどはリンパ浮腫予防においても重要な部分です
また、趣味で園芸をされていたり、ペットを飼われている場合は、傷ができる可能性もあるので、対処していく必要があります
メモ一覧
たくさん書きましたが、ざっくりとした内容を一覧にしているので、メモに書いたり携帯に入力したりして、診察時にスラスラと話せるように役立ててみてください
メモをそのまま渡してもいいですし、最近ではアプリなども出てきているのでそれらを利用していってもいいと思います
診察時に、自身の状態をスラスラと言ってもらえると、医療者側としてもとても対応しやすくなります
双方のコミュニケーションが円滑にできることで、より良いケアに繋がればいいですね
コメント
毎回、婦人科の主治医には前日にスムーズに質問出来る様に細かくメモして伝えたのですが?
イベントである2回に渡る抜歯それまでに服用していなかったロキソニン、フロモックスに関しても伝えたのですが?
これが原因が浮腫と言うのは私の主治医からは何も言われずだったのです。
肥満に関しても体重変化も伝えていますし、いつ頃?気付いたか?など。。
触診はして貰いましたが靴下の跡がついていたので。。
でも、その結果これはリンパ浮腫ではないでと言われ追加の漢方を処方され様子を見て下さいと言われました。
運動に関しても指示して頂きましたが、まずは漢方を復活した事それにより浮腫みはどう変化したか?までも伝えて。。
主治医に関しては、まずは浮腫みを取る薬を処方されるのですが悶々としたので先生に再度、足の浮腫みを診て貰う事となりました。
次回の診察で先生か書かれているブログを、ある程度、印刷しましたので主治医に浮腫みの原因は、これではないか?と再度、確認してみようと思っています。
主治医とのコミュニケーションこんな感じで良いのでしょうか?
先生のご意見をお聞かせ頂けますと、これからの診察にも役立ちますので宜しくお願い致します。
コメントありがとうございます。
浮腫の原因は過去の記事でも書いたとおり、様々な要因で起こります。
それは婦人科の範囲を超えています。そのため、リンパ浮腫には「主科」という、メインとなる科がない病院もあります。
厚生省主催のリンパ浮腫研修には、婦人科や乳腺外科だけでなく、循環器科や整形外科など様々なお医者さんが受講されています。医者だけでなく、看護師やリハビリ関係も参加しています。
それくらい範囲が広く、様々な見方が必要となります。
また、先生は薬の処方をすることができるので漢方の処方をされます。私は薬の処方はできませんが、運動指導などを含め、理学療法を行うことができます。
そのように多方面からチェックや介入を行うのが役割分担になっていると思います。
そして、イベントと思われる抜歯や薬の服用は「可能性」としてしか判断できません。
これは難しい話なのですが、確定ができないのです。リンパ浮腫の確定診断は本当に難しいんです。
この点はご理解ください。
今後の記事で書く予定ですが、ISL分類の0~Ⅰ期までのリンパ浮腫は、スキンケアや日常生活の見直し、体重管理などで
対応することができます。
ひすいさんはこの辺りの対応が全てできています。
ひすいさんは抜歯や薬の服用によって浮腫が起こった可能性がありますが、症状も軽度で、自身での対応ができているため、
経過を聞いていくという対応でよいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。