今回は、がん患者さん、特に化学療法を受けている方に「つたえるアプリ~つらさを和らげるために~」
というアプリを紹介します
このアプリを使うことで、医療スタッフとの情報のやりとりがスムーズになれば嬉しいです
つたえるアプリのサイトは⇒こちら
日々の情報って伝わりにくい
私は病院で働いているので、手術で入院された方や体調が悪くて入院された方の様子は
毎日会うためある程度把握ができます
しかし、外来で治療を受けている方に関しては、たまに会った「その時の状態」しかわかりません
毎日の体調の流れはわかりませんし、特に化学療法後のしんどさはわかりません
そのような状態で、どのように日々の運動を組み合わせていけばいいのか悩むことがあります
体調の波に合わせて運動の量を調整してもらいたいけど・・・
体調の波がわからない・・・
ひとつの方法として「運動日誌の記入」があります
運動日誌とは、日々の歩数や運動量、その他の調子などを点数化して毎日記録することで、
運動を継続しやすくするためのツールとして使っています
外来で会った時などに日誌を確認することで、今後の対策を考えることもできます
つたえるアプリ~つらさを和らげるために~
つたえるアプリのサイトは⇒こちら
このアプリはシオノギ製薬が出しているアプリで、化学療法後の副作用を記録できるようになっています
記録できる項目はさまざまな種類があります
- 痛み
- だるさ
- 眠気
- 吐き気
- 食欲不振
- 気分の落ち込み
- 不安
- 全体的な調子
- おう吐
- 下痢
- 便秘
- 腹部膨満感
- しびれ
- 38℃以上の熱発
- 不眠
- 口内炎
これらの記録が1か月分まとめて表示できます
PDFにして印刷することで、外来受診の際などに見せることができます
また、一口メモも書けるようになっており、伝えたい言葉をまとめることもできます
スマホを使っている方には便利なアプリだと思います
実際に使ってみた
乳がんで化学療法を行っている方で、骨転移の痛みによりリハビリが開始された方がいました
その方は1回/週の化学療法を行うタイミングでリハビリも行っていました
痛みの他に、眠気やだるさ、口内炎など多くの副作用を抱えていました
さまざまな症状がどのように経過していくのか把握するためにアプリの記録をお願いしました
アプリの記録を続けてみてわかったことは、「痛みの波があまりない」ということでした
はじめは、
痛くてどうしたらいいか不安です・・・
とおっしゃっていましたが、痛みの状態が把握できだしてからは、痛みに対する恐怖心が少なくなってきました
痛いのは痛いけど、これくらいなら大丈夫ですね
痛みの程度自体は大きく変わりませんでしたが、だんだん動く量が増えてきました
また、化学療法後のしんどさと、そうでない時のしんどさの見分けがつけやすくなりました
今回のしんどさは化学療法とタイミングが違うし、風邪気味だからかな?
と、自身の体調と向き合えるようになってきました
さらに、一口メモを毎日記録することで、日々の自身の状況を看護師に伝えやすくなりました
短い外来受診の時間でも、スムーズに情報共有ができるようになったと思いました
このアプリのいいところ
- 過去の調子がわかる
- 経過をまとめられる
- 自身の状態を言葉にできる
私たちはその日の調子はわかっていても、一カ月前の調子はよく思い出せません
やはり記録が大事で、記録によって「以前と比べてどう変わったか」という見方ができるようになります
また、経過をまとめることで調子の「流れ」が読みやすくなります
我々医療者は「流れ」を非常に大事にしているので、外来に来ていない日の情報も見られることで
流れをつかみやすくなります
そして、診察時に調子を端的に伝えるのって難しいと感じているのではないでしょうか?
このアプリで一度文章にすることで言葉をまとめ、事前に準備をすることができます
コツコツ記録を積み重ねていくことで得られる情報は、医療者にとってはとても大事な情報になります
医療者と患者さん、お互いスムーズに情報共有ができればいいですね
コメント