リンパ浮腫には0期~Ⅲ期までの段階があり、それぞれ対処方法が違います
自身がどの時期にいるのかを知ることで、対処方法を考えることができます
ISL分類
ISL分類とは、International Society of Lymphologyの略です
時期によって生活指導やスキンケアをメインに行うか、弾性着衣を購入するかなどを決めていきます
しかし、個人差もあるため明確に分類できるわけではないように思います
ISL分類 0期
リンパ節郭清の手術をしたけど、とくに浮腫がない状態が0期です
手術後の方は多くが0期となります
リンパ浮腫は発症していませんが、リンパ節は取っているためリンパの流れは障害されています
そのため、リンパ浮腫の予防が重要となってきます
しかし、ここからが長い付き合いになるので、ポイントを押さえて付き合っていく必要があります
ISL分類 Ⅰ期
浮腫がありますが、手を挙げていると軽減する程度の状態がⅠ期です
夕方はむくんでますが、寝て朝になるとマシになっているという状態です
浮腫は柔らかく、指で押さえると痕が残ります(圧迫痕:あっぱくこん)
柔らかい浮腫は水分の貯留が多い状態です
水分は移動しやすいので、夜間に移動することで浮腫が軽減します
この時期はまだ積極的な介入は必要ではなく、日常生活で浮腫を増悪させる原因がないか探しながら予防を行っていきます
血流を上げるため、軽めの運動なども取り入れていきます
ISL分類 Ⅱ期 (Ⅱ期前期)
明らかに浮腫が出ている状態がⅡ期です
寝て、朝になってもむくみが軽減しにくい状態です
この時期は水分よりもタンパク質を多く含む液体が溜まるため、だんだん圧迫痕が残りにくくなります
この時期からリンパ浮腫に対して積極的な介入を行います
積極的な介入とは、圧迫療法(包帯やストッキング・スリーブの装着)やリンパドレナージなどです
ISL分類 Ⅱ期晩期 (Ⅱ期後期)
Ⅱ期には晩期という状態があり、むくみと皮膚の硬さが出てきている状態のことを言います
溜まっている水分の内、タンパク質の割合が増えると硬さが出てきます(線維化:せんいか)
むくんでいますが圧迫痕は残らなくなります
ISL分類 Ⅲ期
線維化がさらに進行した状態がⅢ期になります
圧迫痕は残らなくなり、象皮症(ぞうひしょう)という皮膚が硬い状態になります
この状態ではなかなか浮腫の改善は期待できません
入院して集中的に介入を行う必要がありますが、施設によって対応の幅が違います
次の段階にきたら、戻ることはできない
知っておいてもらいたいことは、一度次の段階にきたら、戻ることはできないということです
ISL分類Ⅱ期のリンパ浮腫を発症した方に介入をしても、Ⅰ期に戻ることはありません
0期なら0期のまま、Ⅱ期ならⅡ期のまま、極力今の状態を維持することが目的となります
もちろん介入によって周径が改善したり、皮膚の柔らかさが改善したりはしますが、やはり戻ることはありません
予防はしていても、浮腫を発症してしまうことはあります
なので、次の段階にいかないように予防や対処方法を自身で知っておく必要があると思います
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