リンパ浮腫を発症する原因は複数あり、それらが重なり合って起こります
ここでは主に乳がん、婦人科がんに関して、手術、放射線療法、化学療法、内分泌療法について説明をします
私は理学療法士なので、この分野に関しては十分な知識がありません
主にガイドラインから情報を得ています
しっかりとした情報が得られるので、参考にしてみてください
日本乳癌学会 jbcs.gr.jp
日本婦人科腫瘍学会 jsgo.or.jp
一般の方にも見やすいガイドラインがあります
とても分かりやすいです
手術
乳癌では、腋窩リンパ節郭清の程度をよくみています
郭清(かくせい)とは、「取り除くこと」という意味です
腋窩リンパ節は広い範囲にあり、どの部分まで取るかでレベルⅠ~Ⅲに分かれています
日本乳癌学会より引用
最近ではレベルⅢまでの郭清をすることは少なくなっています
しかし、手術をしてから十数年後にリンパ浮腫を発症される場合もあるので、医療者側としては郭清している範囲の確認が必要です
また、乳がんではセンチネルリンパ節生検という方法があります
センチネルとは「見張り」という意味です
乳がんには、最初に転移するリンパ節(センチネルリンパ節)があり、そこを調べることでその先のリンパ節を郭清するか判断するという方法です
日本乳癌学会より引用
婦人科がんでは、大きく分けて骨盤リンパ節と傍大動脈(ぼうだいどうみゃく)リンパ節があります
ときわ会HPより引用
子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどの場所やステージによって郭清の範囲が変わってくるので、確認が必要です
放射線療法
乳癌における放射線療法は、再発率を減少させますが、リンパ浮腫のリスクは増えます
特に腋窩に照射した場合、リンパ浮腫の発症と関係があり、放射線療法単独よりも手術と両方行った方がリスクは増えます
婦人科がんに関しては、最近では放射線単独よりも同時化学放射線療法(放射線と抗がん剤を組み合わせる)が多くなっています
化学療法
化学療法とリンパ浮腫には、直接的な影響はありません
しかし、ドセタキセル(タキソテール®)には副作用に浮腫があります(薬剤性浮腫と言います)
また、点滴の水分過多による全身性の浮腫や、ステロイドを使用した際の顔面浮腫など、リンパ浮腫とは別の浮腫を引き起こすことがあります
これらがリンパ浮腫と重なってくる場合もあります
ややこしいですが、浮腫には様々な種類があり、それらが重なり合って発症する場合があります
化学療法による浮腫か、リンパ浮腫かを判断するときに、リンパ分水嶺を知っておくとわかりやすいです
私は、ドセタキセルを使用された方の場合はとくに注意して症状をみています
乳がんの方でも、下肢に重度の浮腫がみられたり、皮膚が硬くなってなかなかリンパの流れが出にくかったりします
症状には個人差があるので、経過を見ているだけの方もいます
内分泌療法
いわゆるホルモン治療です
内分泌療法がリンパ浮腫に影響するかどうかはあまり文献がありませんが、おそらく直接的な影響はなさそうです
しかし、注意するのは体重増加です
タモキシフェン(ノルバデックス®)やLH-RHアゴニストによって体重が増加して肥満度が高まれば、リンパ浮腫の発症や悪化の原因となる可能性があります
運動や栄養を考えていき、体重増加を予防していくことがポイントとなります
多くの量になってしまいましたが、重要なのはどのような治療が行われたのかをしっかりと把握しておくことが大事だと思います
医療者はこれらの点を聞いていく、がんを抱えている方はこれらの点を伝えていただけると、リンパ浮腫を発症した際の対応がしやすくなると思います
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました
お疲れさまでした
コメント
ドセタキセル(タキソテールⓇ)はパクリタキセルの事ですね?
パクリタキセル投与終了は、もう4年経過していますが、浮腫に関しては注意して足の浮腫み具合に関しては注意をして見て自己チェックと診察時に主治医と相談して行きたいと考えております。
診察で納得出来ない時は私もキョロキョロ見渡しておられない場合は先日の様に伺い相談させて頂きますので宜しくお願いし致します。
コメントありがとうございます。
パクリタキセル(タキソール)は同じタキサン系という分類なのですが、ドセタキセルとはまた違います。
パクリタキセルはドセタキセルに比べて浮腫の発症リスクは低いように思います。
しかし日々のチェックは大切です。つまんで確認をお願いします。