「元気」って何?
皆さんは考えたことがありますか?
ここでは、いろいろな経験の中から「元気とは何か」の定義を考えることで、医療者の目指すべき目標を具体的にできればと思います
臨床での悩み
私はさまざまな時期のがん患者さんのリハビリを行っています
中にはがんが進行しており、痛みや息苦しさ、だるさなどの苦痛症状を抱えている方もいらっしゃいます
「リハビリする元気なんかないよ」
よく言われますし、私自身もそう思うときがあります
それでもできることはあるので、いろいろ考えながら介入しています
あるとき、ふと思いました
「元気って何や?」
ふだん何気なく使っている言葉ですが、意外と説明しにくい言葉ってたくさんありませんか?
「痛み」「息苦しさ」「だるさ」などもそうです
その言葉の意味を深く知りたくなるのが私の性格でして、いろいろ調べてみました
「元気」とは
元気とは、活動の源となる力。体の調子がよく、健康で調子がよいこと
語源由来辞典より引用
意味はこのようになっていますが、まだはっきりしない・・・
語源を調べてみると
元気を古くは「減気」と書き、病気の勢いが衰えて快方に向かうことを表した。
近世には「験気」と書き、治療などの効果が現れて気分がよくなることの意味となった。
さらに、活動の源となる力や活力の盛んなさまを意味するようになり、漢字も「元気」になった。
この意味と漢字の変化には、中国で万物生成の根本となる精気を表す「元気」との混同があったと考えられている。
語源由来辞典より引用
このように、時代によって変化している考え方であることがわかりました
簡単に言うと「治療が上向きになってきている状態」というとらえ方ができそうです
では、治療の方向をきめる「苦痛症状」にも目を向けてみます
「苦痛」は時を止める
「痛みは時間を止める」
医療用麻薬の勉強会で聞いた言葉ですが、とても腑に落ちた言葉です
皆さん想像してみてください
すごくおなかが痛いときに「明日の予定のことについてなんですけど・・・」と聞かれたとします
どう思います?
「ちょっと待って」とか「今はええやろ」とか思いませんか?
「まずおなかの痛み取って」という気持ちになりませんか?
先のことなどどうでもよくなり、「今」をなんとかしてほしいと願うようになる
これが「痛みが時間を止める」という意味になります
痛みだけでなく、息苦しさやだるさも同じような現象が起きますし、たくさんそのような状況に遭遇してきました
しかし、その苦痛症状に対してうまく対処できた時に
「今後のことなんですけど・・・」と話せるようになる
「今」だけしか考えられなかった状態から快方に向かう瞬間です
この感覚は非常に大事だと思います
私の考える「元気」の定義
私の考える「元気」とは
「安静時の苦痛症状がある程度落ち着いており、時間の流れを考えることができる状態」
と定義しました
多少のしんどさはあっても、昔の話や今後どうしたいかなど考えられることが「元気」がある状態だと私は思います
この考えは入院など日常生活がまだ送りにくい方に対する考え方であり、マズローの欲求段階では一番土台の「生理的欲求」の話をしています
モチラボより引用
医療者がめざすところ
まずはこの「元気がある」状態を目指すことが第一目標となるのではないでしょうか
これは「物事を考えたり、行動を起こすための条件」であり、そこから想いを聴いたり目標を立てて介入していけるのだと思います
目の前の患者さんに
「昔のことを聞いてもいいですか?」や
「今後の話をしてもいいですか?」と聞いてみてください
もし話すことができない状態なら、まずは苦痛症状に対処することに全力を注ぐべきだと思います
当たり前のことかもしれませんが、考えをまとめやすくするための助けになればと思い、書いてみました
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