リンパ浮腫について リンパ浮腫の予防

日々の確認方法

リンパ浮腫について

リンパ浮腫は、発症しても対応が早いほど重症化を防ぐことができます

そのため、ちょっとした変化に気づき、医療者に伝えることが大切です

ここでは早期発見のポイントを書いていきますね

診察の場でどのように伝えればいいのかは、別の記事で書く予定です

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なぜ自身で確認しなければならないのか

そもそもなぜ自身で確認しなければならないのか、ということについてですが

リンパ浮腫は入院中に発症することがあまりありません

術後少し浮腫む場合もありますが、これは一時的な浮腫で改善します

 

リンパ浮腫は、術後数年たってから発症することもよくあります

つまり、医療者がいつも観察しているわけではありません

 

なので、自身で症状を知り、その変化を医療者に伝えることができれば

早期発見につながります

術後は特に、傷まわりを見たくないし触りたくない方もいらっしゃいます

ゆっくりでいいので、慣れていきましょう

よく言われること

術後などにリンパ浮腫を発症され、私が担当することになったとき

「どのようなところで気づきましたか?」と聞いています

よく仰るのが

  • 最近手の甲が腫れてきた
  • 肩回りが動かしにくい
  • 脚がちょっと重たい
  • 靴が履きにくい

などです

感覚的なものや、見た目など、いろいろな方法で気づかれています

今回はそれらを分けて、それぞれで判断できるように説明していきます

浮腫の自覚症状

たくさんあるので、ゆっくり見てくださいね

全てが当てはまるわけではないのでご注意を

上肢リンパ浮腫の自覚症状

  • 手術側の腕に違和感がある
  • 手術側の腕がだるい
  • 両腕がだるいが、手術側の腕だけだるさが残る
  • 手術側の肩だけがこったり、張る
  • 臥床(寝る)時、背中の片方(手術側)が盛り上がっているように感じる
  • 手術側のわきの下に物がはさまっているように感じる
  • 手術側の腕の衣服の袖口、腕時計、指輪がきつい、または痕が残る
  • 手術側の腕がなんとなく太いが、寝て起きたとき、あるいは入浴すると治る

下肢リンパ浮腫の自覚症状

  • 発症リスクのある脚や腰のあたりに違和感がある
  • 脚がだるい、疲れやすい
  • 膝が曲げにくい、正座しにくくなった
  • くるぶしや足首、足の甲のあたりがはれぼったい
  • 下着やストッキングがきつくなった
  • 靴下の痕がつきやすくなった
  • 靴のサイズが両足で違うようだ
  • 脚を挙上すると楽で、一晩寝ると脚のだるさがとれる
  • 入浴すると脚のだるさが楽になる
  •        

病棟・外来から始めるリンパ浮腫予防指導より引用

どこから浮腫みはじめるか

リンパ浮腫が見られる範囲は手術側とリンパ分水嶺で判断できます

手や足の甲は気づきやすいですが、リンパ浮腫は術創部周辺から始まることが多いです

服で隠れるので見えにくい、そしてあまり見たくないかもしれません

なので、見る(医療的には「視診」と言います)だけでは難しいです

自身で触れる(医療的には「触診」と言います)ことで確認をする必要があります

 

医療者の方はご本人が確認しにくい場所を注意して観察する必要があります

外来で来られた時に創部周辺の確認を少しするだけで、早期発見のきっかけとなるかもしれません

確認する場所

腕や脚全体を見る必要はありますが、ざっくり分けて考えるとわかりやすいかと思います

近位(腕や脚の付け根、手前側)⇒触診、自覚症状で判断

遠位(手の甲や足の甲、向こう側)⇒視診、触診、自覚症状で判断

医療者は近位を注意して観察する、という感じです

視診

1、静脈の見え方

もともと見えにくい方もいらっしゃいますが、左右の手や腕、脚の静脈を見てみてください

浮腫があると見えにくくなるため、左右での差が出てきます

 

2、皮膚のシワの寄り方

触診でもシワの感じは確認しますが、浮腫があるとシワが少なくなります

「赤ちゃんみたいでこっちの方がいい」とおっしゃる方もいます(笑)

 

3、皮膚の光沢

特に脚の浮腫があるとき、皮膚に光沢があるように見えることもあります

触診

1、シュテンマーサイン

あまり聞かないワードだとは思いますが、やり方は簡単です

指で皮膚を軽くつまんでみてください

その時の皮膚の厚みやシワの寄り方などの感じで判断します

浮腫があるとつまみにくかったり、厚みが出たりします

そのような場合、「シュテンマーサイン+」と記入しています

周径よりも細かな変化を見ることができるので、非常によく使う方法です

 

2、圧迫痕

これはしたことがある方も多いと思います

皮膚を10秒ほど押してみて、痕が残るかで判断します

しかし、これはリンパ浮腫の時期によって変わります

ISL分類のⅠ~Ⅱ期初期では圧迫痕が残りますが

Ⅱ期晩期では残りにくくなります

ISL分類に関しては過去の記事で書いています

圧迫痕が残る場合は「圧迫痕+」と記入しています

チェックのタイミング

リンパ浮腫早期発見のためには、毎日のチェックが欠かせません

しかし、新しい習慣を生活の中に入れていくというのは非常に難しいことです

なので、日頃していることにチェックをくっつけていくという方法がよいかと思います

  • 毎日行う
  • 皮膚がでている
  • 皮膚を触る

こう考えると

  • お風呂
  • 着替え

がチェックの良いタイミングだと思います

身体を洗う時、クリームを塗るとき、着替える時などに鏡で視診をしたり、触診をしたりする

触り慣れていくと、少しの変化でも気づけるようになります

日頃のコツコツが早期発見のポイントとなります

 

自身でチェックできているかというのは、医療者側からしても非常に大事なポイントなので

ぜひ試してみてください

コメント

  1. ひすい より:

    チェックポイント拝読させて頂きました。
    先日ご指導頂いた様に最後の1つまみが私の記事では5mmと表記させて頂きました。
    足の浮腫みのチェックは、お風呂上りと朝に毎日、行っています。
    靴下の跡がつく片方の靴のかかとがきつく感じられたので早期に診察を受けました。
    それまでに浮腫み取りで貰っていた漢方を復活させましたが。。
    毎日の足の浮腫みのチェックは必要だと思っています。
    それから近日中に先生のブログのアドレスを紹介させて頂く事にしましたので宜しくお願い致します。

    • kirimasa より:

      コメントありがとうございます。
      毎日いろいろな方法で確認していると、少しの変化も読み取ることができるようになってきます。
      一朝一夕ではなく、コツコツ積み重ねが力になってきます。

      いろいろな方に知っていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

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