リンパ浮腫の原因~その①~では、主に乳がんと婦人科がんの治療(手術、放射線治療、化学療法、内分泌療法)とリンパ浮腫との関係について書きました
今回は、リンパ浮腫発症のきっかけが何であったか、という内容です
罹患率から見た状況や、私が担当しているリンパ浮腫の方がどのように発症されたかなどを挙げていきます
全ての方に当てはまるわけではなく、個人差が大きい内容なので、気にしすぎないようにしてもらえるとありがたいです
よく言われること
おそらく乳がんや婦人科がんの治療をされた方で、リンパ浮腫発症の可能性がある方は、主治医の先生から
- 激しい運動は控えた方がいい
- 重たいものは持たないほうがいい
- 乳がんの場合、手術した側での血圧測定は控えた方がいい
- 乳がんの場合、手術した側での採血は控えた方がいい
- 虫刺されに気を付けて など
言われたことはありませんか?
確かにそうなのですが、運動を推奨している私からは疑問があります
「激しい運動」とはどのレベル?
「重たいもの」はどれくらい?
という内容です
これは個人差が大きく、その方の筋肉量によります
2kgの重りはやせている方には重たいですが、アスリートには軽いと思います
実際「迷信」のように固く根付いている情報があるような気もしますし、「本当にやってはいけないのか?」というエビデンス(確証)はありません
なので、「控えるように」という表現ではなく、「こういう方法がある」というニュアンスでお伝えできればと思います
炎症
主に「蜂窩織炎」がそれにあたります
日焼けや虫刺されなどは注意した方がいいですが、乾燥なども注意が必要です
これらが原因で皮膚がかゆくなって、かいてしまった場所の皮膚がめくれることで感染しやすい状況を作ってしまうことがあります
日焼けは服装で調整したり、虫刺されは虫よけスプレーを使用したり、もし刺されてしまってもかゆみ止めや少し冷やすなどで対応が可能です
乾燥はまた記事を書く予定ですが、保湿などのスキンケアで予防することができます
激しい運動
これは乳がん、婦人科がんの罹患率(2015年)をグラフにしたものです
ganjoho.jpより引用
罹患率とは、がんが発症する割合のことを言っています
乳がんは40歳代と60歳代の2つの時期で発症しやすいという二峰性の特徴があります
婦人科がんは50歳代が多いです
これらの時期はさまざまな「動かないといけない状況」がたくさんあります
40歳代はバリバリ仕事をしていたり、まだまだスポーツをしている年代で、
50歳代や60歳代はお孫さんが生まれたり、親の介護が必要になる時期でもあります
つまり、「動かなければならない状況」が多くあり、「自身の心配がしにくい状況」も重なってきます
孫の出産でバタバタしていて、落ち着いてふと腕をみたら腫れていた!なんていうこともあり得ます
実際に私が担当した方は、発症のきっかけとして
- スポーツを再開した
- 孫が生まれて抱っこをすることが多かった
- 仕事が忙しくなった
- 引っ越しをした
などがありました
どのきっかけも「控える」という手段をとることが難しかったり、控えることで人生を楽しめなくなったりする可能性があります
この辺りの調整方法は理学療法士が詳しいと思います
- その方の「適度」な運動量はどのくらいかを探す
- 運動量の増やし方(徐々に増やす)
- 「休め」のサインはどこを参考にするのか
- 休憩をどのタイミングでとるのか
- 準備体操やクールダウンの仕方 など
その方に合った運動を「テーラーメイド」で考えていくことができます
最近はスリーブやストッキングなどの「弾性着衣」を付けていれば、運動は負荷をかけてもよいのではないか?という流れになってきており、また今後も変わってくる可能性があります
新しい情報があれば、また更新していきます
ちなみに、スポーツを再開してリンパ浮腫を発症された方は、スリーブを装着したり休憩のタイミングを増やすことで、またスポーツができています
もちろん発症しないか不安になりますが、「あれもダメ、これもダメ」とはならないように、「こうすればできる」という方法を考えていければと思います
コメント